不良の原因究明に進歩あり!

日本向けに鉄加工製品を販売している中国企業A社の工場では、日本品質を目指して開発・生産に取り組んでいます。顧客クレームが発生すれば、原因を究明し対策を講じて再発防止に努めています。

しかし、その中身はどうかと言えば、まだまだ十分と言えるレベルではありません。不良の原因が明確なものは対応できるのですが、不良の原因が明確でないものに関しては、顧客の責任にする傾向がありました。

例えば、顧客が使うときに力を加え過ぎたので変形した、ネジを回すスピードが速すぎるのでかじりが発生したなどです。自社製品の設計上や生産上の問題があるかどうかの検討は、当初ほとんど出来ていませんでした。

顧客からの厳しい指摘もあり、徐々に自社設計や生産工程での不良発生の可能性有無という考え方ができるようになってきました。また、発生した不良について、再現テストを実施して確かめるということもできるようになってきました。

あるとき鉄に溶融亜鉛メッキをした製品でメッキ剥がれ不良が発生しました。A社では、
1)製品が何かにぶつかって剥れた
2)メッキが厚く付きすぎたことで剥れた
という2つの要因を考えました。

以前なら、輸送の途中か顧客のハンドリングで製品をぶつけたことで剥れたと回答してしまうケースです。今回は、ぶつかって剥れた可能性を確かめるために、メッキ製品をハンマーで叩いて剥れの有無をテストしました。進歩したものです。

メッキが厚く付きすぎていたかも調査しました。通常のメッキ厚と比べて厚いのか、薄いのか、同程度なのかを確認して問題の有無を判断します。通常メッキは100μm程度付いているので、不良品がそれよりも明らかに厚く付いているかを見なければなりません。

ところが実際は、通常品のメッキ厚との比較ではなく、不良品のメッキ厚を測定し、規格(85μm以上)は満足しているので、問題ないという結論を出していました。

こんなレベルの中国企業ですが、日本向けに多くの販売実績があるのもの事実です。
日本企業が取引している相手の中国企業は、まだまだこんなものということです。