手直しは気が付いた作業者が行えばよい?

一品物(いっぴんもの)の機械装置を製作していると中国企業のある工場では、機械装置の躯体となる鉄材を加工する工程が先頭工程となっています。その加工工程での品管部の検査で不具合が見つかることが少なくありません。

ものが大きいので、不具合=廃棄とはならないので、不具合品は手直しをすることになります。手直しは、その工程で実施するものもありますが、後工程に任せるものもあります。

どの工程で手直しをするか、その基準は次のようになっています。材料加工工程でなければ手直しできない不具合に関してはその工程で行い、後工程で手直しができるものは、後工程で実施するとなっています。

品管部による工程検査の記録はきちんと取っているので、その記録を見れば、どこに不具合があったのかわかります。しかし、その検査記録は、加工された材料に付いていくことはなく、品管部にファイルされます。

後工程での作業記録を見ても手直しをした記録はありませんでした。また、後工程での品管部の検査記録を見ても、手直し箇所を検査した記録もありませんでした。

作業者に「この材料は、どこを手直しすることになっていたのか?」と質問したところ、「そんなことは知らない。作業していて手直しが必要だと思ったところは手直しをする」との回答がありました。

この工場では、後工程で手直しをすることを条件として、検査不合格でも次工程にものを渡しています。言ってみれば特採をしている訳ですが、その特採の条件が履行されていません。

前工程の検査で不具合が見つかったものを後工程で手直しをするのであれば、手直し指示書などで手直しが漏れなく実施されるようにしなくてはなりません。また、後工程の検査でも、その手直し指示書に基づき、手直し箇所の不具合が修正されていることを確認することが必要です。

この工場の場合、後工程で不具合箇所を手直しするというルールが確立されていた訳ではなく、あとで直せるのだから取り敢えず合格扱いで処理するための言い訳となっていたのです。