出来高制給与の問題点!

以前開催したTS管理セミナーで講師の先生から自身が関わった2つの中国工場を比較した結果、中国では従業員の給料は、日給月給制よりも出来高制の方がうまく管理出来ていたとの話がありました。

これに関して、中国調達セミナーで講師やっていただいた岩城先生からコメントが届きましたので、紹介します。

◆中国では、日本と異なり出来高制をとっているケースが多いですが、メリットよりデメリット、弊害の方が多いように感じています。大前提として、単工程または、相当数の人員が同じ工程を同時並行で実施している場合に限ると思います。

◆多次工程を出来高でやらせると、メリットがほとんどありません。

◆例えば、第二工程の作業者が、通常より20%UPの効率で作業をしても、第三工程の作業者が通常の効率では、仕掛品の山ができるだけで、工程全体の効率、リードタイムは変わらないばかりか、第二工程の作業者の意欲に応えるためには、第一工程完了の仕掛品を多めに用意しておかなくてはなりません。

◆つまり、作業者個人のモチベーションや能力に頼ると、ムラが発生します。弊害は、あらためて書くまでもなく、前行程に不具合のあるものでもお構いなしに加工する、

◆理由の如何(原因が前工程であっても)を問わず不良品は、出来高にカウントしないようなルールにすると、巧みに不良を隠ぺいする加工をする等々です。

◆私の知る限り、出来高制がプラスに作用していたのは、
・組単位の出来高にした場合
・元々工程管理のレベルが低く、常時工程間に仕掛が眠っているレベルの工場

◆大切なことは、出来高、カネで釣らなくとも、作業者が高いモチベーション、向上心の持てる仕組みでしょうね。
(書くのは簡単ですが・・・・・・・)

多次工程の話は、とても分かりやすい事例ですね。不良品を巧みに隠ぺいするというのは、出来高制では起こります。それも作業者全体でやるのです。