中国工場では、工場基本管理をバカにすることなくちゃんとやることが重要です。現在指導中の中国工場でも、最初にこの基本管理の大切さを幹部及び現場管理者に対して指導し、漏れなく実施する体制を作り直しました。
ただし、工場には工場のやり方があるので、それを無視して「さあやれ!」では、うまくいきません。わたしは現状のやり方の中で許容できる部分と、許容できない部分に分けて進めるようにしています。
現場の管理者たちもこちらの言っていることに納得できると実践してくれますし、作業者に対しても守るべき基本を指導してくれます。このように指導した当初は、比較的よくできるものです。
ところがやはり中国工場ですから、時間が経ってくるとタガが緩み、これら基本が守られない状況を目にすることが多くなってきます。指導中の工場も直近の訪問時にそうした状況が確認できました。
具体的に紹介すると、置場の表示とものが合っていないものがありました。加工前と書かれている置場に、加工後品が堂々と置いてありました。状況を指摘して初めて組長は気が付いたようでした。
また、長尺ものを切断する作業では、何本かの長尺材料を同時に切断し、切断品を加工後品箱に入れます。その後で1本を抜取り、寸法検査をしています。
みなさんお気づきですね。寸法検査をするのはいいのですが、検査の手順が違います。この作業をビデオに撮って組長に見せて、「なぜこの検査手順ではダメなのか?」と組長に質問しました。
「加工後品箱に入れてからの検査では、NGだったときにどれがNGの対象となるかわからない」と明確に答えてくれました。組長は正しい手順を理解しているのです。
置場の問題、検査手順の問題ともに組長は、よくないことはわかっていたのです。問題なのは、作業者がそうした作業を勝手にやっていること、そして、それに組長が気が付いていないことなのです。
こうしたことが起きていることをしっかりその目で確認させて、自分たちの管理が不十分であったこと、ルールが守られていなかったことを認識させると効果があります。
こうした基本管理に限らず問題点は、見つけたらその芽を潰すように動くことが必要です。
中国工場の管理は、一朝一夕にはよくなりません。粘り強く指導していくことです。