中国企業で自部門の問題点抽出は無理!

日本品質を目指している中国企業A社では、社長の号令の元、各部門の品質に関わる役割の再認識と問題点を洗い出しが行われました。出てきた問題点を改善することで、全社の品質レベルを高めることが狙いでした。

問題点の洗い出しで社長が期待した内容は出てきませんでした。自分たちの業務に問題はないとか、十分出来ていない業務を取り上げても出来ない理由を延々と説明する内容になっていました。

今回取り上げる倉庫部門の品質に関わる役割についてA社では、このように定義していました。

◆在庫品の品質
保管環境のコントロール、決められた位置に置く、混入防止、先入れ先出し、入出庫数量の正確性(定期棚卸)、保管場所の確保

◆輸送品質
出荷時のトラック積み作業での不具合防止
港までの輸送による不具合防止

◆出庫品質
製品及び部材出庫の正確性(間違った部材を現場に渡さない)

A社では出荷時のトラック積みは外で行っていたので、雨の日に出荷があれば濡れることになります。品質に影響があると考えるべきです。このことを倉庫責任者に聞くと、雨の日は作業しないようにしていると答えました。

中国人のその場しのぎの典型的な回答です。納期の関係でどうしてもその日に出荷しなければならない、その時に雨が降っていてもトラック積み作業はやるでしょう。

倉庫が品質に関わる業務の問題点として、外でトラック積みをしていること、つまり雨に濡れないでトラック積みができないことがあると認識しなくてはいけなのですが、そうした考えは持っていませんでした。

また、在庫品の品質劣化はどう考えているのかと聞くと、半年ごとに在庫品を検査して品質を確認しているので問題ないとのことでした。長期在庫品を出庫する前に品質確認をしているのはよいですが、倉庫として考えるべきことは、品質劣化させないための保管にはどうしたらよいかです。

中国人に自分たちの問題点を取り上げさせるのは、とても難しいですね。

トップである社長が、その意図を十分に理解させ、今まで出来ていないことではなく、今後の改善の取り組みを評価すると明言することも必要でしょう。