以前、関与先企業のサテライト工場が天津にあり品質管理に問題があるので、そちらも指導することになったこと、そこで働いている作業者は地元の元農民で年齢的にも年配の人たちだという話を書きました。
わたしが今まで多く関わってきたシンセンや東莞で働いている若い作業者とは明らかに違う人たちです。そんな天津工場の作業者たちが一体何を考えて作業しているのか聞いてみました。また、品質の話をして通用するのかを試してみました。
最初にこの工場で働いている理由を聞きました。
ほとんど全員が家の近くだからと言っていました。中には、家から近くて給料もそれなりだからという人もいました。他には、生活のためというものや、就職斡旋所で推薦されたからという人もいました。
作業しているときにどんなことを考えて作業しているかを聞いてみました。
こちらから安全という例を出したので、安全に気を付けているという回答が多くありました。他には、組長の指示に従うように作業している。ちゃんと作業するようにしている。品質を守れるように意識しているという回答もありました。
次に、こちらから次のような問いかけをしてみました。
自分がものを買うときに汚れているものや傷がついているものを買いますか?全員が持っている携帯電話を例に挙げて、あなたが携帯電話を買うときに汚れているものや傷があるものを買いますか?と聞きました。
みんな首を横に振って買わないと言いました。そこで、「みなさんが作っている製品を買うお客さんも同じです。汚れているもの傷があるものは欲しくないのですよ」と言い、このことはみなさんにわかってもらいたいと話をしました。
品質を守ることを意識して作業していると言っていたひともいたので、品質とはいったい何ですか?と質問しました。中々答えが返ってきませんでした。しばらくしていいものを作ることという回答がありました。では、いいものとはどんなものですか?と聞くとまた回答が返ってきませんでした。
品質という言葉は工場の中で頻繁に使われる言葉なので知っているのですが、ここの作業者たちは、具体的にどういうものかはイメージ出来ていませんし、知らないというのが実態でした。これでは自分がどうすればよいのかが分かる訳がありません。
品質とは、お客さんの要求である。お客さんの求める性能、機能、外観のことですと説明しました。寸法が違っていれば、製品としての機能が満足できなくなり、傷があればお客さんは買わないので、これらを満足することがよい品質であり重要なことだという話をしました。
ここで紹介した話がいったいどこまで通用したでしょうか。その答えはすぐには出ないと思いますので、しばらく作業者の作業がどう変わるか注意して見ていきたいと思います。