日本品質を目指している中国企業A社は、いろいろな取り組みをしているものの工程内不良や顧客クレームが継続して発生しています。特に昨年は、大きな損失を出した顧客クレームが3件あり会社としても大きな問題と捉えていました。
改善を進めるためには、先ず問題点を正しく掴むことが必要です。ここが不十分だと正しい打ち手が打てません。中国工場の場合、これがちゃんとできていないことが多々あります。
ところがこのA社の生産部は、違いました。生産部経理は、生産部が抱えている次のような問題点をすらすらと話してくれました。(主なもの3つを記載)
◆使用する部材の品質低下
トップの強い意向で使用する部材もコストが優先され、それに比例するように品質不良が増え、それが自社生産に影響を与えている
◆金型、治具、作業方法の標準化
生産技術チームの能力が不足しているため、金型設計・治具設計・作業方法が標準化されていないため、担当者によって違うものになっている
◆検査治具の不足
作業者が自主検査をしているが、検査治具がないので時間がかかる検査治具があれば、もっと早くそしてたくさん検査ができる
問題点をしっかり把握していたことは、評価できます。足りないのは、この後です。
把握しているこれら問題点をどのように改善するのか、改善しているのか。これに対する明確な回答はありませんでした。
これら問題点を生産部スタッフに落とし込んだものの改善が進まなかったのが実状でした。
恐らく生産部スタッフは問題点を示されても、改善の進め方がわからない、また、改善を推進する力が不足しているのです。
推進力がなく自分たちで改善を進められない場合は、改善をテーマとして与えることが必要です。具体的な数値目標を設定して、業務のひとつとして取り組むようにします。要は、背中を押す、改善のきっかけを与えるということです。
当然、改善計画を作成してもらうのですが、その内容はしっかりチェックして、必要な修正を加えることが大事です。