中国食品工場・工場監査で組織的偽装を見抜けるか?

中国食品工場で起きた問題は、次の2つです。
1)期限が過ぎた食材(材料)を恒常的に使用していたこと
2)加工中に床などに落ちた食材を元に戻して使用していたこと

事象としてはこの2つですが、一番の問題は、これらを会社ぐるみで行っていたことです。食材の賞味期限の問題では、マックやファミマなど顧客が工場監査に来たときには期限の切れた食材は使わないで隠していたのです。

インタビューされた従業員は「これが顧客にばれたら取引は停止になる」と答えています。従業員もだめだということをわかってやっていたので、顧客が来たときにばれないように偽装をしていた訳です。

では、このように従業員も含めて会社ぐるみでやっている組織的な偽装を1日や2日の工場監査で見抜くことは出来るでしょうか。結論から言うと難しいと言えます。

難しい理由として監査する顧客が、食品工場側が会社ぐるみでこうした偽装をやっているとは考えていないからです。賞味期限は守るという前提で、管理はきちんとしているのか、管理に漏れはないかという視点で監査をするので、対象の食材を隠されたら見つけることは困難です。

仮に1つ2つ賞味期限切れの食材を偶然発見したとしても、「管理が不十分でした」「廃棄するものを区分していませんでした」などと言い訳をされ、それに対する是正処置を求めて終わりです。監査する側も指摘する項目を見つけたことで、面目を保って社に戻ることになります。

では、どうすれば見つけることができるのでしょうか?
先ずは、中国工場ではどんなことも起こり得るという前提で工場監査に臨むことです。
1日2日の監査で無理なら、長い期間滞在することです。
例えば、巡回監査員として複数の工場に各1ヶ月程度滞在させるのです。
そして一番よいのは、生産委託先工場に自社社員を駐在させることです。
食品を扱うなら、しかもメインの取引先なら、真剣に検討すべきではないでしょうか。

監査員が長期滞在すれば、その期間中偽装をずっと隠しておくことは難しく、何らかボロが出て、そこから闇の部分を見つけることが出来るはずです。