高度な改善、でもその前に足元を見直せ!!

ある日系企業の工場監査に行ったときのことでした。この会社の製品は、最初の工程でプレス成型を行っています。その成型工程の状況を確認していくと、次のような状態にあることがわかりました。

成型されたワークは、プレスから排出後ベルトコンベアに載って流れていき、その間に作業者がワークを取りトレーに入れています。長さ1m強程のベルトコンベアの先には、赤いバケツが置かれてあり、ワークが中に入っていました。

バケツが赤色なので、当然不良品と思われましたが、何とワークは、不良品だからバケツに入ったのではなく、バケツに入ったから不良品になったものでした。

ワークがバケツに入った理由は、作業者が取りきれなかったものがベルトコンベアから落ちたためです。しかも、そこでバケツに入ってしまう割合は、何と5%に上るとのこと。

なぜこの取り損ねが発生するのか?

作業者は、1人1台持ちではなく、複数台持っているためにワークの排出スピードについていけず、取れないワークが発生していました。

この工場には、日本人は1名のみで、通常の生産及び管理は現地中国人スタッフが行っています。話をした中では、中国人スタッフはこの5%をムダと考えている様子はありませんでした。ムダと考えていなければ、改善されるはずがありません。

日本人スタッフは、薄々気が付いていたようでした。しかし、そこまで手が回らないのか、何も手立てしていません。話を聞くと日本人は、もっと進んだ生産効率改善に取り組んでいたのです。

高度なことをやる前に足元をしっかりと見つめて欲しい。5%と言う数字がいかに大きな数字かをわかって欲しい。宝の山を見逃さないで欲しい!!