寸法NGの対策が規格緩和??

工場の受入検査である部品が厚さ寸法NGとなったときのことです。

仕入先(日系工場)の現物確認でも不合格であることが確認されました。 NGの原因は、購入している材料自体の厚さが規格外とのことでした。

問題はこの後の仕入先の対応でした。厚さの寸法公差は厳しく、守れない場合もあるので公差の規格緩和をして欲しいと言ってきました。

購入していた材料に不具合があった場合、材料メーカーにその不具合の原因・対策を報告させ、それを自社回答に添付するのが通常行われる流れです。にも関わらず材料メーカーから何の報告もない段階で、勝手に判断して客先に規格緩和を要請したことは問題です。

問題のひとつ目は、仕入先の処理の順番が間違っていることです。材料メーカーの報告を得ること。そして、その内容の妥当性を確認する作業が出来ていないことですね。

ふたつ目の問題は、顧客と取交した規格を変更することの大変さがわかっていないことです。仕入先の担当者は中国人でしたが、その担当者だけの責任とは言えません。この2つの問題に関する教育をしていない会社の責任と言うことです。

さらに、その規格緩和の要請が中国人担当者の上司である日本人の確認印が押してあるものでした。この日本人上司も問題を理解していないことになります。また、この手の話は特定の会社に限った話ではありません。

一方、自社スタッフにはこの2つの問題点について以前教えていたにも関わらず、部下である担当者はあっさりその要請を受けようとしていたのです。1回や2回教えただけでは身に付かないことはわかっていたつもりでしたが、それをまた体験する機会となってしまいました。粘り強く、根気強く教えていくことが必要なのですね。

現実問題として規格変更(緩和)が必要なことがあるのも事実です。ただし、規格変更とくに緩和は、顧客でも自社内でも大変な労力がいるということを認識しておく必要があります。

最低限、相手を納得させられる変更の理由、そのバックデータ、変更後の規格とその妥当性を示すバックデータなどが必要になります。これを揃えるには、かなりの工数がかかることはおわかりになると思います。

一番よいのは、仕様を取交すときの摺合せをしっかり行い、出来ない場合は出来ないと伝えることです。

しかし、顧客とサプライヤーとの力関係で、出来ないと言えない場合も往々にしてあるでしょう。出来ないと言うと、他社に注文がいってしまうのでは?と。

でも、量産後に規格が守れないのは、お互いにとって不幸な話です。

さらに言えば、顧客の厳しい寸法や特性要求に応えることはもちろん必要です。そうした努力によって、会社の技術力は高まっていくものなのですから。