以前日本電産の永守社長が言っていたのですが、創業当初は、お客さんが工場見学希望した時は京都観光をさせて時間を潰し、工場を見せることなくそのまま帰ってもらうようにしていた。その当時の工場はお世辞にもきれいとは言えなかったので、工場を見られなければ、製品はよかったのでほぼ受注につながる。だからいかに工場を見せないかが勝負だったと。
みなさんの工場は綺麗でしょうから、お客さんが工場見学に来ても問題ないでしょう。ただしこれが工場監査になると話は別だと思っていませんか。工場監査を受けると事前の準備や監査当時1日潰された上に、指摘されたことに対応しなければならないので、やることが増えてしまう。
出来るならお客さんの工場監査は受けたくない。心情的には理解出来ます。しかし、お客さんがやると言ったらそれを拒むことはできません。そうであるならば、ここは発想を変えて工場監査を受けることで、自社工場のレベルとスタッフのレベルを上げることの出来る機会と考えてはどうでしょうか。
例えば顧客クレーム。これも技術改善の機会と捉える事が出来ます。自分たちで発見できなかった自社製品の欠陥を顧客が見つけてくれたと考えるのです。それを解決することで製品レベルが1つ上がったと考えます。
工場監査も同じですね。自分たちでは気付かなかったこと、当たり前と思っていたことを顧客が問題点として指摘してくれます。それを改善することで、現場が強くなれます。
工場監査の受け答えを日本人やベテランが行わず、新しい担当者や育成したいと考えている中国人スタッフにやらせるも手です。もちろん最初はうまくいくはずがないですから、見ていてイライラもするし、ハラハラもします。しかし、そこはぐっと我慢が必要です。
顧客と直接やり取りをすることは、日本人だけでなく中国人にとっても刺激的なことです。社内相手と違っていい加減な対応は許されず、常に真剣勝負となるから覚えるのも早くなりますし、責任感も生まれます。
お客さんの工場監査もただ大変なだけではなく、このようなメリットもありますので、受けることになった時は有効に作用するようにしていくことがポイントです。