もし新規取引先の工場視察で、
作業指導書または作業手順書が現場になかったら取引可否はどのように判断しますか?
中国工場を対象に考えていただいて結構ですが、どこの国の工場でも同じです。
わたしなら作業指導書が整備されていないような工場は、
取引先としてはふさわしくないと判断します。
どうしてもそこから買わなくてはならない理由があれば、買うという判断もあるでしょう。
しかし、購入開始後に様々な問題が起き苦労することを覚悟しておく必要があります。
作業指導書は単なる書類ではなく、
その工程で行われる作業に求められるものを網羅しているものです。
品質基準、それを実現するための作業のポイントや手順など、
指導書通りに作業をすることで品質を確保します。
作業指導書は、
それをみれば作業の手順や方法、
そして注意すべきポイントがわかるように記載することが必要です。
つまりそれを見ればそこでの標準作業方法がわかるということです。
中国企業の工場では、単に図面を転記したような作業指導書を見かけることがあります。
作業指導書に関して中国企業を見るときにもうひとつ注意しなくてはならないのが、
現場の班長なり組長などの管理者が作業指導書の意味を理解していないことです。
作業指導書に作業手順を記載するときは、
当然その時点でベストの方法であるはずで、
それがその工程の標準作業ということになります。
決められた標準作業通りに作業者が作業していると思ってしまいがちですが、
中国工場ではそうとは限りません。
ある中国企業の工場では、
作業指導書はあるものの作業手順が書かれていませんでした。
注意して見ると作業者によって作業方法が違うことが分かりました。
作業方法を標準化して作業指導書に記載するように要求しました。
作業指導書は修正され、作業手順が盛り込まれました。
ところが、作業をよく見ると作業者によって作業方法が違っていました。
標準作業が徹底されていないのです。
作業指導書に記載されている作業方法通りに作業をさせるのは
現場の管理者である班長や組長の重要な役割です。
この工場の班長や組長は、
標準作業、そしてそれを記載した作業指導書通りに
作業者に作業をさせる理由がわかっていませんでした。
自分たちにそのような役割・責務があることも理解していませんでした。
中国工場を見るときは、こうしたことにも注意をしてください。
そして現場の管理者に作業指導書が必要な理由を質問してください。
現場の管理者のレベルが工場のQCDレベルになるというのが、
経験から得た弊社の持論です。