自社製品の検査で不良が見つかり原因を調べるとある購入部品の特性不具合によるものとわかりました。担当の中国人スタッフから部品メーカーに連絡し調査させました。
その部品担当の中国人スタッフから状況報告があったが、はっきりしない説明であった。
ところがメーカーと我々とで見解が異なっていて、議論は平行線を辿っていました。我々の判断は不合格、メーカー判断は通常品よりも良くないレベルではあるが、規格に照らし合わせると良品。
ところがその後、同じ部品で同じ不良による自社製品の不良が再び発生した。このときの部品に関しては、メーカーも規格外で不良と認めた。
メーカーが規格内としたものと規格外としたものは、調査してみると製造ロットは同じであることがわかった。そして、その製造ロットは、通常のロットよりも不良率が高いことが記録として残っていた。
つまりこの製造ロットには、不良品が含まれている可能性が高いということになる。
問題となった特性が規格外となると、我々の製品では致命的な欠陥になる可能性もあり、厳格な管理が必要でした。
実はメーカーでも、この不良率が高いロットは異常と判断していたようで、原因の調査を行い対策も実施済みだったのです。我々の製品で不良にならなかったら、何も起きなければ、メーカー内の異常処置で済んでいたのでしょう。しかし、そうはなりませんでした。
今回の問題点は、検査で異常を検知したのに出荷してしまったメーカーの判断の甘さです。
検査で異常な不良率が出て、それをきちんと感知したにも関わらず、抜取検査で合格だったことから出荷した判断が悔やまれます。
結果論かもしれませんが、異常を感知した時に対象ロットを危険と考えて、出荷停止とする勇気を品質責任者は持つことが必要ではないでしょうか。
結末を言うと、不良が含まれている可能性のある対象部品の相当数を既に生産に投入済みでした。自社製品にとって致命的欠陥になる可能性があることから、製品の作り直し費用も含め相当額の費用負担を請求する事態となりました。