ある会社の工場を訪問した時のことでした。全体的には、きちんと整備されていた工場でしたが、梱包工程の前に仕掛品が非常に多くあることが目に留まりました。
よく見ると出し入れは、一方向からしか出来ないように置かれていました。つまり先に入れた奥のものが簡単には取り出せないようになってしまっているのです。簡単に先入れ先出しが、出来る状況ではなかったのです。
このあたりの状況を聞いていくと、先入れ先出しをする意識はありませんでした。しかし、その場所に仕掛って梱包待ちをしている製品の納期はまだ先なので、完全な先入れ先出しが出来なくても問題はないとの説明がありました。
また、客先からの緊急オーダー品は、ここで仕掛ることなく、前の工程から直接梱包に持ち込まれるので、これまた問題ないとの説明がありました。
この会社では、客先の発注リードタイムと数量に対応するには、受注生産では到底間に合わない。そのために客先からの先々の情報により、見込み生産を行っています。こうした対応は必要なことです。
ですが、見込み生産品以外の緊急オーダーも多い。それらは、ラインが1つになる最終工程近くで、見込み生産品を追い越していきます。
この仕掛り品には3つの問題点があります。
1.見込み生産品とは言え、生産計画はあるはず。
生産完了予定日を明確にして、生産を完了させておかなければなりません。この会社では、それが明確ではなく、生産指示数量だけであとは工程の流れに任せていたのと、生産完了を確認していませんでした。
2.先入れ先出しされずに、いつまでも残る可能性がある。
見込み生産の品物は、次から次に生産しています。多くの品番で常に仕掛り在庫となっている。従って、これらは後入れ先出しを行っても納期には間に合うので、先に生産したものがいつまでも残ることになる。
3.梱包とその前の工程とのラインバランスが取れていない。
工程間の仕掛在庫削減の観点からも、見直し検討が必要です。
※現場の慣れとは恐ろしいもので、第3者が見ると?と思うことでも、それが当たり前になっていると何とも思わなくなるのですね。外部監査でこうした指摘を受けるのは、有効なことなのです。