中国企業・工法変更の結末は?

ある中国企業では、鉄材の曲げ加工とプレス加工を主にやっています。曲げ加工は特殊なローラーを多数通すことで加工しており簡単な加工ではないので、この工場の売りとなっています。

プレス加工の方は、一般的な成型や穴あけ加工ですが、その中のひとつの製品では穴位置精度の要求が厳しく位置決めに工夫が必要でした。

対応策としてガイドローラーを設置してワークの位置を安定させることにしました。ところが生産を始めると、位置決めは安定するようになったのですが、ガイドローラーにワークがスムーズに入らずセットに手間取っていました。

生産部の組長は、生産性が落ちることから位置決めの方法を変更しました。ガイドローラー方式であれば、ワークは必ず正しい位置にセットできますが変更した方法の場合、どうだったのでしょうか。

この位置決め方法の変更は、工法の変更であり生産上の大きな変更点です。しかし、現場の管理者である組長にその認識がなかったので、変更した位置決め方法で、セット時のワーク位置が安定するかどうか、穴位置精度に問題がないかを確認していませんでした。

実はこの中国工場では、生産上の工法や設備、治具などの変更が、品質に影響を与えるという認識がないので、変更に伴う影響の評価、品質確認を行う決まりがありませんでした。

組長は、少し生産をしてみて穴位置不良がないから、この方法で問題ないと判断したのですが、不良が発生する可能性については検証していませんでした。

幸運なことに変更した方法でも、ワークのセット位置は安定することが確認できました。でも、生産部の組長は、どうして変更した方法でも位置が安定するのか、穴位置が不良にならないのか、その理由を理解していなかったのです。

工程・工法を変更したときに何の確認もしない中国企業は、さすがに少ないと思います。しかし、どのような確認をしたのかが重要なので、そこはしっかりチェックすることが必要です。