日本品質を目指している中国企業A社では、外注業者の品質改善を最重要課題として取組みました。その施策の1つとして新規業者開拓において適正な業者評価が出来るようにしました。
具体的には、品質管理面の評価を企業規模に応じた内容で行うことを品管部に、そして、業者の技術や設備面の評価を開発部に依頼し、完全とは言えないまでも以前よりも品質や技術面の評価が適切に行えるようになりました。
この基準で既存外注である鉄加工品業者の再評価を実施しました。鉄加工品では、新しい製品を立ち上げるたびに初期トラブルが発生し、顧客の信用を失っていました。
品管と開発とで7社訪問し再評価したところ、4社は継続して取引可能だが、3社は管理レベルが低く今後取引は難しいと判断されました。
自社要求に応えられる外注業者を選ぶ道筋が出来てきたのですが、外部環境の影響で購入品に対するコスト圧力が非常に強くなってきました。単刀直入に言うと、購入先はコスト最優先で選定せざるを得なくなったのです。
コストを優先すると品質管理や技術面でレベルが低くなり、不合格のDランクとなる場合も出てきました。評価で不合格の業者からの購入は基本的には出来ないルールになっていますが、購買部としては、その業者から買うという選択肢しか許されない状況です。
A社が取るべき道は、Dランクの業者を指導して購入できるCランクに引き上げることです。ルールを満足するためですが、重要なのは、この業者の品質に起因する品質問題を発生させないことです。
コスト優先という選択肢は当然あると思います。しかし、品質問題を起こしてはコストメリットなど簡単に飛んでしまいます。品質管理レベルの低い業者から購入するなら、品質問題が起きないように自社で管理する体制を作らなくてはなりません。
中国企業の弱い部分として、コスト優先としたときに品質をいかに確保するか、業者での確保が十分でないなら自社で確保するという考え方が出来ないことがあります。