中国食品工場で起きた問題は、2つの事象に分けられます。
1つ目は、期限が過ぎた食材(材料)を恒常的に使用していたこと。
2つ目は、加工中に床などに落ちた食材を元に戻して使用していたこと。
以前起きた毒入り餃子事件を教訓として、工場の作業については、その手順や方法、工場内への出入りなど細かいところまでルールを決めて運用させていた。工場監査もそれらルールに基づいて行っていたと報道されていました。
ただし、ルールを細かく決めたとしても実際に働いている従業員の意識やモラルは、簡単に変わるものではありません。ここが日本の工場との大きな違いであり問題点と言ってよいでしょう。
2つ目の問題を従業員の意識やモラルの問題として片付け、従業員の責任とすることには同意できません。今回の問題は、会社ぐるみの組織的犯行とも報道されていたことが同意できない理由です。
「床に落ちた食材をそのまま元に戻す、例え上からの命令でも日本ではやらない」このようにお考えの方もいると思います。しかし、中国では上からの命令には逆らえません。逆らえば給料を減らされる、最悪の場合、職を失うことにもなるからです。
最近は日本でもアルバイトが会社の命令に逆らうことができず、24時間連続勤務とか、授業があるにも関わらず出勤を強要され単位を落としたなどの報道がありました。アルバイトなのだから学業を優先する、場合によっては辞めればいいと思うのですが、働かないと生活していけない学生は、逆らえずに従っていた現実があるのです。
問うべきは、実際に床に落ちた食材をそのまま元に戻した従業員ではなく、それを指示した会社、経営者のモラルなのです。
では、なぜ経営者はそのような指示を出したのでしょうか。そうせざるを得ないほど経営が逼迫していたのでしょうか。
なぜ?なぜ?なぜ?とここでもなぜなぜ5回をやって、真因を探り出すことが大事なことだと思います。