今回は、リード線をカットする刃物の管理に関する話です。
セットメカや電気部品によく使われるリード線。単品のもの、コネクターなどが付いているもの、少ないものでは2本から多いものでは何十本の線のものまで多種多様です。
このリード線の不良としては、芯線切れ、芯線傷、皮膜ちぎれそして誤配線などがあります。芯線に関する不良と誤配線は、電気的トラブルとなり致命的な不良となります。
芯線切れや傷は、長尺ものを切断し皮剥きした時に発生する不良です。皮を剥くときに刃物が深く入り過ぎると、芯線が切れたり、傷が入ったりします。その調整が重要となります。
多くのリード線加工メーカーは、皮剥き後の状態を頻繁に顕微鏡で検査していますが、これは出来栄え管理に他なりません。
皮膜ちぎれは、刃物の入り方が不十分か、刃物が磨耗して切れ味が悪くなった場合に起きます。これも刃物の入り方の調整と皮剥き後の状態を検査して保証しています。
広東省にある比較的品質管理が出来ている日系リード線加工メーカーでも、刃物の磨耗に関しては、皮剥き後の検査による出来栄え管理だけしか行っていませんでした。
ですが、刃物の磨耗に関しては、ショット数(加工数)管理をしていくべきです。
当然刃物を交換した後や、メンテした後は切れ味がよく調整がきちんと出来ていれば、問題は起きません。加工を重ねていくと切れ味が悪くなってくるので、だいたいどのくらい加工したら悪くなるのか、その目安を持っておきたいところです。
その目安をもつことにより、悪くなる時期がわかり検査する側に注意を促せ、見逃し防止に繋がります。
磨耗する加工数にバラツキが小さければ、出来栄えがよくてもある一定の加工数になった時点で、刃物は交換することを決めることが望ましい。
刃物はリード線だけでなく、工場のいろいろなところで使われています。様々な業種の工場で管理方法を見てきましたが、多くは出来栄え管理だけでしたので、その都度、ショット数管理の必要性を説明・指導してきました。