ものづくりの現場に作業標準または作業手順書は必須です。
ないとどうなるかを考えてみれば、必須の理由がおのずとわかりますね。 ただし、あればよいと言う訳ではありません。きちんとした作業ができるための標準書となっているかが大事です。
中国企業の工場で作業標準に書かれていることは立派なのだが、実態が伴っていなかったことがありました。
今回は、その事例を紹介します。
今後有望と期待されていた中国企業の工場を訪問し、いつものように工程の管理状況の確認を行っていたところ、上流の原料加工工程でそれを発見しました。
原料の加工工程では、金属の原料粉を粉砕して所定の大きさにした後、樹脂と混合するまでを行っている。この工程が後工程の品質に与える影響が大きく、重要工程の1つである。
工程の記録からその工程の作業が作業標準通りに行われていなかったことがわかりました。
ところがよく確認していくと、作業標準通りの設定で作業を行うのが実質的に困難であることが分かりました。作業者は、「決まり=作業標準」通りに出来ないので、自分の経験と思い込みで作業をしていました。
この会社は、ISO9001を取得済みで、作業標準を含め要領などもきちんと整備されていました。ただ、会社としては、設立後数年の新しいが故に、何人かのキーパーソンに各分野すべてを任せるという体制を取っていました。生産を含む技術部門もあるキーマンが、すべてを1人で見ていました。
そして、実態とかけ離れたものを作成してしまった。好意的に解釈をすれば、理想状態を記載したと言うことであろう。
では、なぜ実態と標準が合っていないといけないのでしょうか?
それは、作業標準を守っていないことになり、それを会社も認めることになってしまいます。そうなると作業者は、「作業標準=決まりごと」を守らなくてもよいと考えてしまう。やがて他の作業も、他の決まりごとにも、守らなくなってくる。
こうなると最悪の場合、その工場に規律というものが存在しなくなってしまいます。
皆さんの工場では、実態とそぐわない作業標準になっていませんか? また、何年も見直ししないで、放置していませんか?
定期的に自己診断することをお勧めしています。特に、若い工場では、必須です。