中国人作業者はまじめ、それともいい加減??

今回は、中国人作業者をどう捉えるかを考えてみることにします。

これに関してメールで相談をいただいたのでアドバイスさせてもらいました。 これに対して、相談者のNさんからコメントいただきました。

「小生、品質管理・品質保証に永らく携わっています。しかし、国外の品質指導は最近になってからの事であり戸惑う事が有りましたが、根本様のアドバイスをいただき基本的には小生の考え(ポリシー)にそれほどの誤りが無い事を確認いたしました。 本当に有難うございました。」

Nさんの人為的なミスに関する基本的な考え方をご紹介します。

1)人は誰も失敗(ミス)しようとして失敗している訳ではない。 会社を困らせてやろうとして、意識的に不具合品を出しているのではない。 ・・・性善説を取ります。

2)人は皆チョンボ(失敗)をするもので有り、これを皆無にするのは難しい。 しかし、失敗を起こし難い環境を作って行くのは会社(管理者)の責務である。                                                      3)起きたことは取り返せない。 これを次にどうして生かしていくかを考えるのが管理者の仕事。但し、責任 ばかりを追及すると、真の原因が見えてこない(隠される)場合がある。

本質を捉えたしっかりしたポリシーだと思います。

わたしの中国での経験を通して得た考えを紹介します。

「中国人の作業者、特にライン作業者はみな一生懸命働いていると思います。その姿を見ると作業者を信用してこそ信頼関係が出来、品質がよくなると考えていた時期と、作業者もわざとじゃないけど手を抜いたり、決められたやり方を守らなかったりするものだと考えていた時期を交互に繰り返していました。」

極端な言い方をすれば、性善説と性悪説を行ったり来たりしていたのです。

今大事だと考えているのは、作業者への意識付けとポカよけや不良を確実に検出できる仕組みです。   作業者への意識付けとは、自分が行っている作業がいかに重要な作業か、というのを理解してもらうことです。これがあるかないかが、ちょっとしたことで不良になるかならないかを分ける部分だと思っています。   自分の作業の重要性というのは、自分が作っている製品・部品が最終的にどのような製品になって世の中に出るかということです。それを具体的にイメージしてもらい、家族や親戚などが買った時に不良だったらどんな気持ちになるか、などを考えてもらうといいでしょう。

身近な商品だとイメージが湧きやすくていいのですが。   何でもないことのようですが、これってすごく重要です。何を作っているか、意味もわからずに作業をすることほどつらいことはありません。そのように作業させることは、あってはなりません。

作業者は一生懸命作業しているが、ミスをゼロにすることは出来ない。また、ほとんどの作業者はきちんと作業しているが、極一部の作業者が決まりを守らないことはある。

これらによって発生した不良を工程内で確実に検出して社内で留め、顧客に不良品を流出させないことです。

そしてNさんも言っていますが、ミスを起こさないような工程設計、作業設定をするのは、管理者、会社の責任。この考え方は、ものづくりをする場合に必ず実施しなければならない基本中の基本です。

最後に原因と対策を混同しないこと。 原因を究明して、初めて対策が取れるという基本姿勢を忘れないように心掛けています。