外観検査-検査員が判断しない検査方法とは?

弊社では定期的に外観目視検査セミナーを開催しています。
今回はそのセミナーの中で話をする内容のひとつを参加者からの質問という形で紹介したいと思います。

質問者の方の中国工場で生産している製品は、外観がとても重要な品質要素になっています。ですが、外観不良が流出して顧客クレームとなっている状況とのことでした。

中国工場に状況をフィードバックして対応を求めても、工場の検査では示された基準に従って検査をしているので、それでクレームになるとすれば、それは基準の問題であって工場側には問題はないと回答をしてくるとのことです。

もうひとつは、製品の特性上非常に微妙な判断をすることが必要な場合がある。そのためには熟練の検査員が必要なのだが、人の入れ替わりもあり中々検査員が育たず、判断のバラツキが生じて困っているとの内容でした。

今回は、この2つの内容のうち後者の内容についてどのようにしたらよいかを考えてみたいと思います。この問題は多くの中国工場で同様の悩みを抱えているのではないでしょうか。

先ずやらなくてはいけないのは、1人でよいので日本側が要求している基準を理解して、それに基づいて良否の判断ができる中国人検査員を作ることです。信頼できる検査員を育成するのです。最初は1人で構いません。

しかし、この時点で信頼できる熟練検査員は1人だけで、他の一般検査員はまだ微妙なものを判断できるレベルではありません。この1人の熟練検査員だけで外観検査をやるのは不可能なので、次に記す検査方法がポイントになります。

「一般検査員に微妙なものは判断させない」のです。容易な判断だけを行うようにします。微妙なものについては、信頼できる1人の検査員に任せるという方法です。こうすることによって、微妙なものの判断は特定の検査員が行うのでバラツキが生じません。

この検査方法は万能ではありませんが、微妙なものの流出に対しては効果があります。
試してみる価値ありです。