地域によって作業者レベルに差がある!

品質管理を支援していた厦門の中国企業には、天津に分工場がありました。
本工場はアルミ製品、天津工場は鉄の加工品の生産と棲み分けをしています。本工場の改善が進んだタイミングで天津工場も品質に問題があるので、改善指導をお願いしたいとの依頼がありました。

天津は、鉄鋼を加工する工場が多くあるので鋼材の販売業者も数多くあり(1000社以上とも言われている)、厦門に比べてそれらの調達環境もよいようです。また、工場は天津市内ではなく郊外にあるので、作業者の給料も厦門よりも安く抑えられるとのことでした。この2つのメリットから厦門ではなく天津に分工場を建てて生産することになったようです。

この中国企業も今まで天津工場に対して何もしてなかった訳ではなく、厦門工場のスタッフが長期出張も含め指導に出向いていました。ところが思うように改善が進まなかったこともあり、わたしに依頼が来たと言う訳です。

指導に出向いたスタッフは、天津工場の作業者は厦門工場の作業者に比べてレベルが低いと言います。簡単にはよくならないので、覚悟した方がよいとまで言われました。ここで言うレベルとは、仕事や品質に対する意識であり、工場としてやるべき当たり前のことに対する意識が違うと言うのです。

作業者は年配の人が多く、元々は近辺の農民だった人たちです。この辺りの農民は開発に伴って土地の権利を手放すことでお金をもらっているので、それほど一生懸命働かなくてもよいと考えていると工場のトップが言っていました。

実際に彼らの仕事ぶりを見ましたが、その通りだと感じました。シンセンや東莞にある工場を数多く見てきましたが、その地域で働いている作業者とは違ってどこかのほほんとしています。

ただし、レベルが低いのは作業者だけではありませんでした。管理者のレベルも低いと言わざる得ない状況でした。工場管理のルールや仕組みも十分ではありませんでした。そのこともあり作業者は自分が守らないといけないルールや、やるべきことを知らないのです。管理者たちもどうしたらよいかがわかっていないようでした。

その工場がある地域では、どのような人たちが作業者として集まるのか、それもとても重要な要素であることが改めてわかりました。また、管理者のレベルが工場のレベルに直結することも再認識できました。

天津工場は、ISO9001取得に向けて動いているので、それに合わせて工場管理の基本から取組み、最終的には作業者の意識を向上させることを目標に進めていくことにしました。

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