教育は教える人の方が勉強になる!

中国工場の管理者に対する品質管理教育を実施してわかったのは、工場の管理者の多くは系統だった教育を受けたことがないこと。そのために言葉は知っているが、表面的な理解になっていることでした。

ですから教育で必要なのは、本質を理解させることです。

さて、管理者教育の次は作業者への教育に取り組みます。どんなに立派なマニュアルがあっても、最終的には作業者の意識を高めなければ、品質は確保できません。

通常作業者への教育をわたしが実施することはありません。管理者に先生役となって実施してもらいます。

管理者に自分たちが受けた教育内容を今度は自分が作業者に対して教えてもらいます。これは管理者にとって、負担になります。ここで言う負担とは、工数的な面もありますが大きいのは精神的な負担です。要するにプレッシャーになるということです。

皆さんも経験があると思いますが、教育は受ける人よりも教える人の方が勉強になります。

教育を受ける側はいたって気楽ですが、立場が変わって教える側に回ると、その準備、特に教える内容についてしっかり理解していないと相手には伝わりません。朝礼で注意事項を話すときとは、まったく違います。

以前支援していた中国工場で作業者教育の段階になり、管理者に先生役をやってもらい、その教育現場を見学しました。その日は何人かいる組長の内のある1人の組長が先生役をやっていました。

一生懸命話しているのはよくわかりましたが印象的だったのは、その日の教育が終ったあとでした。組長は自分の机に戻るなり「ふー」と息をつきました。実は緊張していたことがわかりました。

組長の机の上には、彼が必死で手書きした原稿がありました。教育で話す内容を彼なりに必死でまとめて、原稿として準備していたのです。それを見たときは、組長の頑張りと管理者に先生をやってもらった狙いが見事にはまったことにうれしくなりました。

教育というのは、受ける側の成長も促しますが、それ以上に教育する側の成長を促すのですね。先生役を管理者がやることによって管理者が成長すれば、工場全体のレベルが上がることつながります。

コメントを残す