3Mでみた中国工場の品質管理-設備・機械の事例

今回は、機械の調整に関するノウハウが落とし込まれていないことによって起きた不良発生の事例を紹介したいと思います。

日系の加工メーカーさんでの話です。中国に生産を移管し生産量を増やした時期から製品端面のキズ不良が発生するようになりました。

端面は、Rを付けるように加工しています。そこにキズがあると顧客が使用したときにノイズが発生するなどの不良につながる可能性があるため、このキズは許容されませんでした。 また、日本で生産していたときには発生していなかった現象なので、明らかに中国生産によるものでした。

メーカーさんの話では、この端面の加工は砥石使っている。ワークを供給するためのガイドと砥石の間隔の調節をきちんと行わないと、隙間にワークが挟まりキズがつくとのことであった。要するにその微調整のやり方が落し込まれていないために発生したのです。

■ 今日のポイント ■

このメーカーさんが使っている加工機は、すべて日本から送り込んだものです。しかし、 結局のところ、微妙な調整・段取りのノウハウが完全に落とし込まれていないことが問題でした。

これには日本本社と中国工場で実態に対する認識のずれがどこの会社でもあるようだ。

生産移管からしばらくは、機械調整を指導できるベテランが出張で来ていたが、ある程度出切るようになったところで帰ってしまう。日本の本社サイドでは、あとは現地で出来ると考えている。

カンとコツの世界、暗黙知の部分をどのように中国工場に落し込むか。 ここに会社の技術力と姿勢が問われていると言ってよい。